【医師監修】便が黒い!タール便は危険なサイン?原因と対処法、病院へ行くべき目安を徹底解説
- 院長
- 2024年5月4日
- 読了時間: 16分
更新日:3 日前
「あれ?今日の便、なんだか黒い…」 「黒い便が出たけど、これって大丈夫なの?」 「もしかして、何か悪い病気なんじゃ…」
普段と違う黒い便が出ると、誰でも不安になりますよね。便の色は健康状態を示すバロメーターの一つであり、黒い便は時として注意が必要なサインとなります。
黒い便の原因は、食べたものや飲んでいる薬の影響である場合も少なくありません。しかし、中には胃や食道、十二指腸といった上部消化管からの出血が原因となっているケースもあり、これは「タール便」と呼ばれ、放置すると危険な状態につながる可能性があります。
この記事では、消化器病専門医監修のもと、
黒い便(タール便)とは何か?なぜ黒くなるのか?
黒い便が出る様々な原因(病気、食事、薬)
考えられる具体的な病気とその症状
自分でできるチェックポイント
すぐに病院へ行くべきかどうかの判断基準
病院での検査や治療法
黒い便を予防するための生活習慣
などを、どこよりも詳しく、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、黒い便に対する漠然とした不安が解消され、適切な対処法を知ることができます。ご自身の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
(監修:かくたに内視鏡消化器内科クリニック)
1. まず知っておきたい「黒い便(タール便)」の基本
そもそも、「黒い便」とはどのような状態を指すのでしょうか。そして、なぜ便は黒くなるのでしょうか。
1-1. 黒い便(タール便)の特徴的な見た目と臭い
一般的に注意が必要とされる黒い便は、以下のような特徴を持っています。
色: 墨汁のように真っ黒、または黒光りしている。
形状・硬さ: 粘り気があり、どろっとしている。まさに道路工事で使う「タール」のような状態。
臭い: 独特の生臭い、鼻をつくような強い臭いがする。
このような特徴を持つ便を、医学用語で「タール便(黒色便)」と呼びます。
ただし、単に色が黒っぽいというだけで、形や硬さが普段と変わらない場合は、後述する食事や薬の影響である可能性が高いです。タール便との違いを見分けることが重要です。
1-2. なぜ便は黒くなるの?血液が黒くなるメカニズム
タール便が黒くなる主な原因は、血液です。
食道、胃、十二指腸といった上部消化管(口から入って比較的すぐの消化器官)で出血が起こると、血液が胃の中に入ります。血液に含まれるヘモグロビン(赤い色素)中の鉄分が、胃酸にさらされることで酸化され、「ヘマチン」という黒い物質に変化します。
さらに、腸内を進む過程で腸内細菌による分解・変性も受け、便として排出される頃には真っ黒なタール状になるのです。
つまり、タール便は上部消化管で出血が起きているサインである可能性が高いと言えます。出血量が多いほど、より黒く、タール状になりやすい傾向があります。
一方、肛門に近い大腸や直腸からの出血の場合は、血液が胃酸の影響を受けずにそのまま排出されるため、鮮やかな赤い血(鮮血便)や、赤黒い血が混じった便になることが一般的です。ただし、大腸からの出血でも、出血量が多い場合や便が腸内に長時間とどまった場合には、黒っぽい便になることもあります。
2. なぜ黒い便が?考えられる3つの主な原因
黒い便が出る原因は、大きく分けて以下の3つが考えられます。
病気による消化管出血
食事や飲み物による着色
薬やサプリメントの影響
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 【最も注意】病気による消化管出血
タール便が出た場合に、まず疑われるのが消化管からの出血です。特に上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血が原因であることが多いです。
考えられる主な病気:
胃潰瘍・十二指腸潰瘍:
胃や十二指腸の粘膜が深く傷つき、えぐれてしまう病気です。
主な原因は、ピロリ菌感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:痛み止めや解熱剤)、ストレスなど。
黒い便(タール便)の最も一般的な原因の一つです。
他の症状: みぞおちの痛み(特に空腹時や夜間)、胃もたれ、胸やけ、吐き気、嘔吐(吐血)、食欲不振など。潰瘍から大量に出血すると、貧血症状(めまい、立ちくらみ、動悸など)やショック状態を起こすこともあります。
胃がん・食道がん:
胃や食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。
進行すると腫瘍から出血し、黒い便が出ることがあります。
初期は自覚症状がないことも多いですが、進行すると様々な症状が現れます。
他の症状(胃がん): 胃の不快感、みぞおちの痛み、食欲不振、体重減少、吐き気、嘔吐、貧血、黒い便など。
他の症状(食道がん): 食べ物がつかえる感じ、胸の違和感・痛み、咳、声のかすれ、体重減少、黒い便など。
びらん性胃炎・出血性胃炎・急性胃粘膜病変(AGML):
胃の粘膜に「びらん」と呼ばれる浅い傷ができたり、炎症が起きて出血したりする状態です。
ストレス、アルコールの飲み過ぎ、香辛料などの刺激物、NSAIDsなどが原因となります。
他の症状: みぞおちの痛み、胃の不快感、吐き気、嘔吐(吐血)、胸やけ、黒い便など。
食道静脈瘤・胃静脈瘤:
主に肝硬変などが原因で、門脈(消化管から肝臓へ血液を送る血管)の圧力が上昇し、食道や胃の静脈がこぶのように腫れてしまう病気です。
静脈瘤が破裂すると大量に出血し、吐血や黒い便(タール便)が見られます。命に関わる危険な状態です。
他の症状: 吐血(大量のことが多い)、黒い便、貧血症状、黄疸、腹水など(肝硬変の症状)。
マロリー・ワイス症候群:
激しい嘔吐を繰り返した際に、食道と胃の境目あたりの粘膜が裂けて出血する状態です。
飲酒後の嘔吐などが原因となることが多いです。
他の症状: 嘔吐後の吐血(鮮血が多いが、黒い血や黒い便になることも)、みぞおちの痛みなど。通常は自然に止血することが多いですが、出血量が多い場合は治療が必要です。
その他:
出血性食道炎: 逆流性食道炎などが悪化し、食道粘膜から出血することがあります。
小腸・大腸からの出血(まれに黒い便の原因に): 大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などでも、出血量が多い場合や便の通過に時間がかかった場合は、黒っぽい便になることがあります。ただし、通常は鮮血便や暗赤色便が多いです。
これらの病気による黒い便(タール便)は、体からのSOSサインです。放置せず、速やかに医療機関を受診する必要があります。
2-2. 食事や飲み物による着色
病気ではなく、食べたものや飲んだものの色が原因で便が黒っぽくなることもよくあります。この場合は、タール便のような粘り気や特有の臭いはなく、一時的なものです。原因となる飲食物の摂取をやめれば、数日で元の便の色に戻ります。
便を黒くしやすい主な食品・飲料:
イカ墨: イカ墨パスタやイカ墨料理を食べた翌日は、便が真っ黒になることがあります。最も分かりやすい原因の一つです。
海苔、ひじき、わかめなどの海藻類: 大量に摂取すると、消化されずにそのままの色素が便を黒っぽくすることがあります。
色の濃い果物: ブルーベリー、プルーン、アメリカンチェリーなどをたくさん食べると、便が黒っぽくなることがあります。
赤ワイン: ポリフェノールなどが影響し、便の色が濃くなることがあります。
カカオ(チョコレート、ココア): 大量に摂取すると、便が黒っぽくなることがあります。
肉類(特にレバーなど鉄分の多い食品): 鉄分が酸化して黒っぽく見えることがあります。
血液を含む食品: 豚の血を使ったソーセージ(スンデなど)を食べると、便が黒くなります。
これらの食品を摂取した記憶があり、黒い便以外に特に症状がなければ、過度に心配する必要はありません。ただし、数日経っても便の色が戻らない場合や、他の症状がある場合は注意が必要です。
2-3. 薬やサプリメントの影響
服用している薬やサプリメントが原因で、便が黒くなることもあります。
便を黒くする主な薬・サプリメント:
鉄剤: 貧血の治療で処方される鉄剤は、吸収されなかった鉄分が便に混じって排出されるため、便が黒くなります。これは薬が効いている証拠でもあり、通常は心配ありません。
ビスマス製剤: 一部の胃腸薬(下痢止めや胃粘膜保護薬)に含まれるビスマスという成分が、腸内で硫化水素と反応して黒い硫化ビスマスを生成するため、便が黒くなることがあります。
炭末(薬用炭): 消化管内のガスや有害物質を吸着する目的で使われる薬用炭を服用すると、便が黒くなります。
これらの薬やサプリメントを服用中に便が黒くなっても、基本的には問題ありません。ただし、自己判断で服用を中止せず、処方した医師や薬剤師に確認するようにしましょう。もし黒い便とともに腹痛などの症状が現れた場合は、薬の影響以外の可能性も考えられるため、医師に相談してください。

3. 黒い便が出たら?自分でできるチェックポイント7つ
黒い便に気づいたら、慌てずに以下の点をチェックしてみましょう。病院を受診する際にも役立つ情報になります。
便の状態を詳しく観察:
色: 真っ黒か、濃い茶色か?光沢はあるか?
形状・硬さ: タールのように粘り気があってドロドロか?普通の形か?
臭い: いつもと違う、生臭いような強い臭いがするか?
血液の付着: 赤い血が混じったり、付着したりしていないか?
量: いつも通りの量か?少量か?
回数: 黒い便は何回出たか?続いているか?
他の症状の有無:
消化器症状: 腹痛(特にみぞおち)、胃痛、胸やけ、吐き気、嘔吐(吐いたものの色も確認、吐血はないか?)、食欲不振、胃もたれ、お腹の張りなど。
貧血症状: めまい、立ちくらみ、ふらつき、動悸、息切れ、顔面蒼白、倦怠感など。
全身症状: 体重減少、発熱、冷や汗など。
直近(2~3日)の食事内容:
上記で挙げたような、便を黒くする可能性のある食品(イカ墨、海苔、ブルーベリー、鉄分の多い食品など)を摂取したか?
服用中の薬やサプリメント:
鉄剤、ビスマス製剤、薬用炭などを服用していないか?
痛み止め(NSAIDs)を常用していないか?(胃潰瘍のリスク)
飲酒・喫煙の習慣:
お酒を飲みすぎていないか?(急性胃炎、マロリー・ワイス症候群のリスク)
タバコを吸うか?(胃潰瘍、がんのリスク)
持病や既往歴:
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝硬変、がんなどの病気をしたことがあるか?
ピロリ菌に感染している、または除菌歴があるか?
最近の体調変化やストレス:
最近、強いストレスを感じる出来事があったか?
体調がすぐれない状態が続いていたか?
これらの情報を整理しておくことで、医師が原因を特定しやすくなります。
4. 病院へ行くべき?受診の目安を判断する
黒い便が出た場合、どのような状況であれば病院を受診すべきなのでしょうか。緊急度別に解説します。
4-1.【緊急】すぐに受診が必要な場合
以下のいずれかに当てはまる場合は、命に関わる危険な状態の可能性があり、夜間や休日であっても、すぐに医療機関(救急外来など)を受診する、あるいは救急車を呼ぶことを検討してください。
タール状の真っ黒な便(粘り気があり、強い臭いがする)が出た
吐血(コーヒーかすのような黒っぽいもの、または鮮血)を伴う
強い腹痛や胸痛がある
めまい、立ちくらみ、冷や汗、意識が遠のく感じ、顔面蒼白など、ショック症状や重度の貧血症状がある
頻回に黒い便が出る、量が多い
これらは、消化管から大量に出血しているサインの可能性があります。一刻も早い対応が必要です。
4-2.【早めに】近いうちに受診を検討すべき場合
緊急性はないものの、消化管出血や何らかの病気が隠れている可能性があるため、できるだけ早く(数日以内に)消化器内科や胃腸科を受診しましょう。
黒い便が数日続く(原因となる食事や薬を中止しても改善しない)
便の色は真っ黒ではないが、普段より明らかに黒っぽい便が続く
黒い便とともに、腹痛、胃痛、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少などの症状がある
貧血の症状(めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、倦怠感など)がある
便を黒くするような食事や薬に心当たりがないのに黒い便が出た
過去に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝硬変などの病気と診断されたことがある
がんのリスクが高い年齢(一般的に50歳以上)で、原因不明の黒い便が出た
これらの場合、胃潰瘍やがんなどの病気が原因である可能性が考えられます。早期に診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。
4-3. 様子を見ても良い場合(ただし注意は必要)
以下のような場合は、緊急性は低いと考えられますが、念のため注意深く様子を見ましょう。
イカ墨料理を食べた、鉄剤を飲んでいるなど、黒い便の原因がはっきりしている
黒い便は一度だけで、その後は通常の便に戻った
腹痛や吐き気、貧血症状など、他の症状が全くない
ただし、原因となるものを摂取しなくなっても黒い便が続く場合や、後から他の症状が出てきた場合は、早めに医療機関を受診してください。
迷ったら、まずは医療機関に相談を! 自己判断は禁物です。「大丈夫だろう」と思い込まず、少しでも不安がある場合は、かかりつけ医や消化器内科に相談することをおすすめします。
5. 何科を受診すればいい?
黒い便で病院を受診する場合、以下の診療科が適しています。
消化器内科、胃腸科: 胃や腸など消化管の専門医です。黒い便の原因精査や治療の中心となります。最も適切な診療科です。
内科: かかりつけの内科医がいる場合は、まず相談してみるのも良いでしょう。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。
救急科: 緊急性が高い場合(上記4-1参照)は、救急外来を受診します。
6. 病院ではどんな検査をするの?
病院では、黒い便の原因を特定するために、以下のような検査が行われることがあります。
問診:
身体診察:
血液検査:
貧血の有無や程度(赤血球数、ヘモグロビン値など)を調べます。消化管出血があると貧血になります。
炎症反応(白血球数、CRPなど)を確認します。
肝機能や腎機能など、全身状態を評価します。
便潜血検査:
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):
黒い便(タール便)の原因診断で最も重要な検査です。
口または鼻から細いカメラ(内視鏡)を挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察します。
出血の原因となっている潰瘍、がん、炎症、静脈瘤などを特定できます。
出血部位が確認された場合、その場で内視鏡的止血術(クリップで血管を挟む、薬剤を注入するなど)を行うことも可能です。
疑わしい病変が見つかった場合は、組織の一部を採取(生検)し、病理検査で良性か悪性かなどを詳しく調べます。
ピロリ菌の検査も同時に行えます。
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ):
腹部超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査:
肝臓、胆嚢、膵臓など、他の臓器の状態を調べるために行われることがあります。
がんの広がりや転移などを評価する目的でも用いられます。
これらの検査を組み合わせて、黒い便の原因を正確に診断します。
7. 黒い便(消化管出血)の治療法
黒い便の原因が消化管出血であると診断された場合、その原因疾患に応じた治療が行われます。
内視鏡的止血術:
胃カメラや大腸カメラで出血部位が特定され、活動性の出血(今まさに出血している状態)や、再出血のリスクが高いと判断された場合に行われます。
クリップ法、薬剤局所注入法、電気凝固法、レーザー照射法など、様々な止血法があります。
薬物療法:
胃酸分泌抑制薬: プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどを用いて胃酸の分泌を強力に抑え、潰瘍の治癒を促進し、出血を予防します。消化管出血の治療の基本となる薬剤です。
胃粘膜保護薬: 胃の粘膜を保護し、修復を助けます。
ピロリ菌除菌療法: 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因がピロリ菌感染である場合、抗菌薬と胃酸分泌抑制薬を用いた除菌療法を行います。再発予防に非常に重要です。
輸血:
出血により貧血が高度な場合は、失われた血液成分を補うために輸血が必要となることがあります。
手術:
内視鏡的止血術で止血できない場合や、穿孔(消化管に穴が開くこと)を合併している場合、がんが原因の場合などには、手術が必要となることがあります。
原因疾患に対する治療:
胃がんや食道がんが原因であれば、手術、化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療が行われます。
食道・胃静脈瘤破裂の場合は、内視鏡的治療(硬化療法や結紮術)や薬物療法、IVR(血管内治療)、場合によっては肝移植などが検討されます。
治療法は、出血の原因、部位、程度、患者さんの全身状態などを考慮して決定されます。
8. 黒い便を繰り返さないために!予防とセルフケア
黒い便の原因となる消化管出血、特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍などは、生活習慣を見直すことである程度予防が可能です。また、日頃からご自身の便の状態に関心を持つことも大切です。
8-1. 消化管出血のリスクを減らす生活習慣
ピロリ菌の検査・除菌: ピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんの主な原因です。感染している場合は、除菌療法を受けることでこれらの病気のリスクを大幅に減らすことができます。胃の不調がある方や、家族に胃がんの人がいる場合は、一度検査を受けることをお勧めします。
ストレスを溜めない: 過度なストレスは胃酸の分泌を促し、胃粘膜の防御機能を低下させます。十分な睡眠、適度な運動、趣味の時間などで、上手にストレスを発散しましょう。
バランスの取れた食事:
暴飲暴食、早食いを避ける。
脂肪分の多い食事、香辛料の強い食事、熱すぎる・冷たすぎる飲食物は控えめに。
塩分の摂りすぎに注意する(胃がんのリスク)。
野菜や果物を積極的に摂り、バランスの良い食事を心がける。
禁煙: 喫煙は胃粘膜の血流を悪化させ、胃酸に対する抵抗力を弱めます。胃潰瘍や胃がんのリスクを高めるため、禁煙が強く推奨されます。
節度ある飲酒: アルコールの飲みすぎは、胃粘膜を直接傷つけ、急性胃炎や潰瘍の原因となります。休肝日を設け、適量を守りましょう。
鎮痛剤(NSAIDs)の適切な使用: ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、胃粘膜を荒らし、潰瘍の原因となることがあります。自己判断で長期間使用せず、必要な場合は医師の指示に従い、胃薬(胃酸分泌抑制薬など)と併用することも検討しましょう。アセトアミノフェンは比較的胃への負担が少ないとされています。
定期的な健康診断・がん検診: 胃がんや食道がんは、早期発見・早期治療が非常に重要です。症状がなくても、定期的に胃がん検診(バリウム検査や胃カメラ)を受けるようにしましょう。
8-2. 毎日の便をチェックする習慣を
便は「体からのお便り」とも言われます。毎日排便後に、色、形、硬さ、量、臭いなどを観察する習慣をつけましょう。
色: 黄色~茶色が健康的。黒、赤、白っぽい場合は注意。
形: バナナ状が理想。硬すぎる、水っぽい、細い場合は注意。
臭い: 極端に臭いが強い場合は、腸内環境の悪化や病気の可能性も。
普段の状態を知っておくことで、異常があった時にすぐに気づくことができます。「たかが便」と思わず、健康管理の一環として便のチェックを取り入れてみてください。
9. まとめ:黒い便は体からの重要なメッセージ
黒い便が出ると不安になるのは当然ですが、その原因は様々です。
イカ墨や鉄剤など、心配のない原因も多い。
しかし、タール便(真っ黒で粘り気のある便)は、胃潰瘍やがんなど、消化管出血のサインである可能性が高い。
タール便や、腹痛、吐血、貧血症状などを伴う場合は、迷わず速やかに医療機関を受診することが重要。
原因となる病気は、早期発見・早期治療で治癒する可能性が高まる。
生活習慣の改善や定期的な検診で、消化管出血のリスクを減らすことができる。
胃や十二指腸などからの出血で赤い血が肛門から出てくる場合は大量出血の可能性が高く、気を失っているレベルとなります。
黒い便は、あなたの体が発している重要なメッセージかもしれません。決して放置せず、この記事を参考に適切な対応をとってください。そして、少しでも不安や疑問があれば、必ず医師に相談するようにしましょう。あなたの健康と安心のために、この記事が役立つことを願っています。
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