【医師監修】もう悩まない!逆流性食道炎の症状・原因から最新の治療法、予防法まで徹底解説
- 院長
- 2024年5月8日
- 読了時間: 9分
「最近、胸やけがひどくて眠れない」「胃酸が上がってくるような不快感がある」
もしかしたら、それは逆流性食道炎かもしれません。
日本人の4人に1人が経験するとも言われるこの病気は、放置すると食道がんのリスクを高める可能性も。
しかし、正しい知識と適切な対策を行えば、症状を改善し、快適な生活を取り戻すことができます。
この記事では、逆流性食道炎の症状、原因、診断方法、治療法はもちろん、日常生活でできる予防法まで、あなたの疑問や不安を解消するために徹底的に解説します。
ぜひ最後まで読んで、逆流性食道炎に負けない体を作りましょう。
1. それは逆流性食道炎かも?代表的な症状をチェック
逆流性食道炎の主な症状は、胃酸が食道に逆流することで起こります。以下のような症状に心当たりはありませんか?
胸やけ: みぞおちから胸にかけて、焼け付くような不快感や熱さを感じる
呑酸(どんさん): 酸っぱい液体や苦い液体が口まで上がってくる
胸痛: 締め付けられるような、あるいは刺すような胸の痛み
咳: 特に夜間や明け方に多い、慢性的な咳
喉の痛み・違和感: 声がかすれたり、喉に異物感があったりする
つかえ感: 食物が食道に詰まるような感覚
げっぷ: 頻繁に出るげっぷ
吐き気: 胃のむかつきや吐き気
これらの症状は、食後や横になった時、前かがみになった時などに起こりやすい傾向があります。
ただし、これらの症状は逆流性食道炎以外の病気でも見られることがあります。自己判断せずに、気になる症状があれば必ず医療機関を受診しましょう。

2. なぜ胃酸が逆流する?逆流性食道炎の主な原因
胃酸の逆流を防ぐ仕組みがうまく機能しなくなることが、逆流性食道炎の主な原因です。その背景には、以下のような要因が考えられます。
2.1. 下部食道括約筋の機能低下
食道と胃の境目にある筋肉「下部食道括約筋」は、通常は食べ物が胃に入る際に緩み、それ以外は締まることで胃酸の逆流を防いでいます。この筋肉の機能が低下すると、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
下部食道括約筋の機能低下を引き起こす要因としては、以下のようなものがあります。
加齢: 筋肉の機能は加齢とともに低下する傾向があります。
食道裂孔ヘルニア: 胃の一部が横隔膜の上にある食道裂孔という部分にはみ出すことで、下部食道括約筋の機能が低下することがあります。
特定の食品: 脂肪分の多い食事、チョコレート、コーヒー、アルコールなどは、下部食道括約筋を緩めやすいと言われています。
喫煙: 喫煙は下部食道括約筋の機能を低下させる可能性があります。
特定の薬剤: 一部の喘息薬、高血圧治療薬、鎮痛剤などが下部食道括約筋に影響を与えることがあります。
2.2. 胃酸の過剰な分泌
胃酸が過剰に分泌されると、逆流した際に食道への刺激が強くなり、炎症を引き起こしやすくなります。
胃酸の過剰な分泌を招く要因としては、以下のようなものがあります。
ストレス: ストレスは自律神経のバランスを崩し、胃酸の分泌を促進することがあります。
暴飲暴食: 胃に過度な負担をかけると、胃酸の分泌が増加します。
香辛料の強い食品: 唐辛子などの刺激物は、胃酸の分泌を促すことがあります。
2.3. 食道の防御機能の低下
食道には、胃酸による刺激から自身を守るための防御機能が備わっています。しかし、この機能が低下すると、わずかな胃酸の逆流でも炎症が起こりやすくなります。
食道の防御機能の低下に関わる要因としては、以下のようなものがあります。
加齢: 食道の粘膜も加齢とともに変化し、防御機能が低下することがあります。
慢性的な炎症: 長期間にわたる胃酸の逆流によって、食道の粘膜が弱くなることがあります。
2.4. 生活習慣
不規則な食事時間、早食い、食後すぐに横になる習慣なども、胃酸の逆流を引き起こしやすくする要因となります。また、肥満によって腹圧が上昇することも、胃酸の逆流を助長する可能性があります。
3. 放置すると怖い?逆流性食道炎が引き起こす可能性のある病気
逆流性食道炎を放置すると、食道の粘膜が慢性的に炎症を起こし、様々な合併症を引き起こす可能性があります。
3.1. バレット食道
食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に置き換わる状態です。バレット食道は、食道腺がんのリスクを高めることが知られています。
3.2. 食道狭窄
慢性的な炎症によって食道が線維化し、狭くなることがあります。これにより、食べ物が通りにくくなり、つかえ感や嚥下困難を引き起こします。
3.3. 食道潰瘍
炎症がさらに進行すると、食道の粘膜が深く傷つき、潰瘍を形成することがあります。潰瘍から出血することもあり、重症化すると吐血や貧血の原因となります。
3.4. 喘息や慢性的な咳
逆流した胃酸が気管支を刺激し、喘息が悪化したり、慢性的な咳を引き起こしたりすることがあります。
3.5. 睡眠障害
夜間の胸やけや呑酸によって、睡眠が妨げられることがあります。
これらの合併症を防ぐためにも、逆流性食道炎の症状を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
4. どうやって診断するの?逆流性食道炎の検査方法
逆流性食道炎の診断には、主に以下の検査が行われます。
4.1. 問診
医師が症状や既往歴、生活習慣などを詳しく問診します。症状の内容や頻度、どのような時に症状が出やすいかなどを正確に伝えることが大切です。
4.2. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
内視鏡を鼻または口から挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜の状態を直接観察します。炎症の程度や範囲、潰瘍の有無、バレット食道の兆候などを確認することができます。組織の一部を採取して病理検査を行うこともあります。
4.3. 食道pHモニタリング検査
食道内の酸性度を24時間または48時間にわたって測定する検査です。胃酸がどの程度食道に逆流しているか、症状と胃酸の逆流との関連などを調べることができます。
4.4. 食道内圧検査
食道の蠕動運動や下部食道括約筋の圧力を測定する検査です。食道の運動機能や下部食道括約筋の機能低下の程度を評価することができます。
4.5. プロトンポンプ阻害薬(PPI)テスト
プロトンポンプ阻害薬という胃酸の分泌を抑える薬を一定期間服用し、症状の改善度合いを確認する方法です。これにより、症状が胃酸の逆流によるものかどうかを判断することができます。
これらの検査を組み合わせて、総合的に診断が行われます。どの検査が行われるかは、医師の判断や症状によって異なります。
5. 症状を改善するために!逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎の治療は、症状の緩和と食道粘膜の炎症を抑えることを目的として行われます。主に薬物療法と生活習慣の改善が中心となります。
5.1. 薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬や、食道の運動機能を改善する薬などが用いられます。
プロトンポンプ阻害薬(PPI): 最も効果的な胃酸分泌抑制薬の一つで、食道粘膜の炎症を鎮め、症状を改善します。
H2受容体拮抗薬: 胃酸の分泌を抑える効果があり、PPIよりも作用は穏やかです。
制酸薬: 胃酸を中和し、胸やけなどの症状を一時的に和らげます。
消化管運動機能改善薬: 食道の蠕動運動を促進し、胃酸の逆流を防ぐ効果があります。
これらの薬は、症状や重症度に合わせて医師が処方します。自己判断で市販薬を使用したり、服用を中断したりしないようにしましょう。
5.2. 生活習慣の改善
薬物療法と並行して、日常生活における注意点や改善に取り組むことが非常に重要です。
食事の工夫:
脂肪分の多い食事、チョコレート、コーヒー、アルコール、炭酸飲料、香辛料の強い食品などを控えましょう。
消化の良い食事を心がけ、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。
食べ過ぎや早食いを避け、腹八分目を守りましょう。
寝る2~3時間前には食事を済ませるようにしましょう。
姿勢の改善:
食後すぐに横にならないようにしましょう。
寝る時は、上半身を少し高くすると胃酸の逆流を防ぎやすくなります。
前かがみの姿勢を長時間続けないようにしましょう。
禁煙: 喫煙は下部食道括約筋の機能を低下させるため、禁煙しましょう。
肥満の解消: 肥満は腹圧を上昇させ、胃酸の逆流を助長するため、適正体重を維持しましょう。
ストレス管理: ストレスは胃酸の分泌を促進することがあるため、適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
衣類の調整: お腹を締め付けるような衣類は避けましょう。
5.3. 外科的治療
薬物療法や生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合や、食道裂孔ヘルニアを合併している場合などには、外科的な治療が検討されることがあります。
腹腔鏡下噴門形成術(ふくくうきょうかふんもんけいせいじゅつ): 胃の上部を食道の下部に巻き付けて、下部食道括約筋の機能を補強する手術です。
外科的治療は、患者さんの状態や希望を考慮して、慎重に判断されます。
6. 逆流性食道炎を予防するためにできること
逆流性食道炎は、日々の生活習慣を見直すことで予防することができます。
健康的な食生活: バランスの取れた食事を規則正しく摂り、食べ過ぎや早食いを避けましょう。
適度な運動: 適度な運動は、消化機能の促進やストレス解消に役立ちます。
禁煙・節酒: 喫煙は避け、アルコールは適量を守りましょう。
適切な体重維持: 肥満にならないように、体重管理を心がけましょう。
睡眠前の食事を避ける: 寝る前の食事は控え、十分な時間を空けましょう。
ストレスを溜め込まない: 自分に合った方法でストレスを解消しましょう。
定期的な健康診断: 定期的な健康診断を受け、早期発見・早期治療につなげましょう。
これらの予防策を実践することで、逆流性食道炎の発症リスクを減らし、健康的な生活を送ることができます。
7. 最後に
逆流性食道炎は、適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールし、合併症のリスクを減らすことができる病気です。
もし、この記事を読んで少しでも気になる症状があれば、自己判断せずに早めに医療機関を受診してください。医師に相談し、適切な検査と治療を受けることで、つらい症状から解放され、快適な毎日を取り戻せるはずです。
一人で悩まず、専門家の力を借りて、積極的に病気に立ち向かいましょう。あなたの健康な食生活と笑顔を応援しています。
恒例!逆流性食道炎、こんなクリニックには要注意
さて、逆流性食道炎ではどういうクリニックに注意すれば良いのでしょうか。
まずは、診断です。ほんの軽微な逆流性食道炎に対しても薬を処方するクリニック。
これ、実は非常に多いですね。
逆流性食道炎の程度と症状は実はあまり相関しないんです。
だからこそ治療は一人一人に合わせた治療が必要になります。
そして、症状が有る場合には一番強いタケキャブをすぐに出すクリニック。
これは注意した方が良いと思います。
症状を取りたいから一番強い薬を出す。
いや、もっと弱い薬でも症状が取れればいいんですよね。
強い薬にはそれなりに副作用が有ります。
最近はタケキャブに限らず、PPI全般に副作用が懸念されています。
逆流性食道炎だからと言って必ず内服は必要ないこと。
長期間の内服も不要なこと。
逆流性食道炎に対して毎年の内視鏡検査はそもそも不要であること。
こういう点を知って頂いてクリニックを選んでください。
東京都練馬区で内視鏡なら
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