【医師監修】つらい腹痛の原因を徹底解説!症状別の対処法と医療機関を受診する目安
- 院長
- 2024年5月1日
- 読了時間: 8分
更新日:4月30日
「なんだかお腹が痛い…」
誰もが一度は経験する腹痛。その原因は様々で、日常生活でよく起こるものから、すぐに医療機関を受診すべき危険なサインまで潜んでいます。
この記事では、腹痛に悩むあなたに向けて、その原因を詳しく解説。痛む場所や症状別に考えられる病気、家庭でできる対処法、そして「もしかして危険?」と感じた時に知っておくべき医療機関を受診する目安を、医師の監修のもと徹底的にまとめました。
この記事を読むことで、あなたの腹痛の原因に対する不安が和らぎ、適切な対処法と受診のタイミングを判断できるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
1. 腹痛とは?知っておくべき基礎知識
腹痛とは、一般的に胸部と骨盤の間(腹部)に感じる痛みの総称です。その感じ方は、「キリキリする」「ズキズキする」「締め付けられる」「刺すような」など様々。痛みの強さや持続時間、現れる場所も多岐にわたり、これらの情報が原因を特定する重要な手がかりとなります。
腹部には、胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、膀胱、子宮など、多くの臓器が存在します。そのため、腹痛の原因はこれらの臓器の病気だけでなく、筋肉や神経の異常、感染症、ストレスなど、多岐にわたるのです。
2. 腹痛の場所でわかる?考えられる原因と症状
腹痛が起こる場所によって、どの臓器に異常が起きている可能性があるかを推測できます。ただし、あくまで目安であり、自己判断は禁物です。気になる場合は必ず医療機関を受診しましょう。
2.1. みぞおち(心窩部)の痛み
みぞおち周辺の痛みは、胃や十二指腸、膵臓などの病気が考えられます。
考えられる原因:
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
機能性ディスペプシア
逆流性食道炎
急性膵炎
胆石症(初期)
心筋梗塞(まれに)
伴いやすい症状:
吐き気、嘔吐
胸やけ
食欲不振
胃もたれ
背中の痛み
2.2. 右上腹部の痛み
右上腹部の痛みは、肝臓、胆嚢、胆管などの病気が疑われます。
考えられる原因:
胆石症、胆嚢炎
肝炎
肝膿瘍
十二指腸潰瘍
腎盂腎炎(右側)
伴いやすい症状:
黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
発熱
吐き気、嘔吐
背中の痛み(右肩甲骨の下あたり)
2.3. 左上腹部の痛み
左上腹部の痛みは、胃、膵臓、脾臓などの病気が考えられます。
考えられる原因:
胃炎、胃潰瘍
急性膵炎
脾臓破裂、脾臓梗塞(まれ)
腎盂腎炎(左側)
伴いやすい症状:
吐き気、嘔吐
背中の痛み
食欲不振
2.4. 右下腹部の痛み
右下腹部の痛みで最も注意すべきは虫垂炎(盲腸炎)です。その他、大腸や女性の場合は右側の卵巣の病気も考えられます。
考えられる原因:
虫垂炎
過敏性腸症候群
感染性腸炎
大腸憩室炎
卵巣嚢腫茎捻転(女性)
異所性妊娠(右側、女性)
伴いやすい症状:
発熱
吐き気、嘔吐
食欲不振
下痢、便秘
2.5. 左下腹部の痛み
左下腹部の痛みは、大腸や女性の場合は左側の卵巣の病気が考えられます。
考えられる原因:
過敏性腸症候群
感染性腸炎
大腸憩室炎
卵巣嚢腫(左側、女性)
異所性妊娠(左側、女性)
伴いやすい症状:
下痢、便秘
腹部膨満感
2.6. 下腹部の痛み
下腹部の痛みは、膀胱、子宮、直腸などの病気や、月経痛などが考えられます。
考えられる原因:
膀胱炎
過敏性腸症候群
便秘
月経痛
子宮内膜症(女性)
骨盤内炎症性疾患(女性)
子宮筋腫(女性)
伴いやすい症状:
頻尿、排尿痛
便秘、下痢
おりものの異常(女性)
不正出血(女性)
2.7. 腹部全体の痛み
腹部全体の痛みは、広範囲の炎症や重篤な病気の可能性があります。
考えられる原因:
急性腹膜炎
腸閉塞
重症の感染性腸炎
腹部大動脈瘤破裂(激痛)
伴いやすい症状:
激しい痛み
腹部の張り
吐き気、嘔吐
発熱
冷や汗
2.8. その他(背中や腰に広がる痛み)
腹痛が背中や腰に広がる場合は、膵臓や腎臓の病気が疑われます。
考えられる原因:
急性膵炎
尿路結石
腎盂腎炎
伴いやすい症状:
激しい痛み
吐き気、嘔吐
血尿(尿路結石)
発熱(腎盂腎炎)

3. 腹痛の症状から考えられる原因
痛みの種類や現れ方、伴う症状からも、ある程度原因を推測することができます。
3.1. 急に起こった激しい痛み
突然の激しい痛みは、緊急性の高い病気のサインである可能性があります。
考えられる原因:
尿路結石
胆石発作
虫垂炎(初期)
異所性妊娠破裂(女性)
卵巣嚢腫茎捻転(女性)
消化管穿孔
腹部大動脈瘤破裂
3.2. 繰り返す痛み・慢性的な痛み
慢性的に続く腹痛や、 периодически 繰り返す痛みは、慢性的な病気や機能的な問題が考えられます。
考えられる原因:
過敏性腸症候群
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
子宮内膜症(女性)
慢性胃炎
便秘
3.3. 食後に起こる痛み
食後に起こる腹痛は、消化器系の病気が関連していることが多いです。
考えられる原因:
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胆石症、胆嚢炎
機能性ディスペプシア
食中毒
3.4. 排便と関連する痛み
排便によって痛みが和らぐ、または悪化する場合は、大腸の病気が考えられます。
考えられる原因:
過敏性腸症候群
便秘
大腸憩室炎
4. 家庭でできる応急処置と注意点
軽い腹痛の場合、家庭でできる応急処置で症状が和らぐことがあります。ただし、症状が悪化する場合や改善しない場合は、無理せず医療機関を受診しましょう。
4.1. 安静にする
楽な体勢で横になり、体を休ませましょう。
4.2. 腹部を温める
湯たんぽやカイロなどで優しく温めると、血行が促進され痛みが和らぐことがあります。ただし、炎症が疑われる場合は温めすぎに注意しましょう。
4.3. 水分補給をする
下痢や嘔吐を伴う場合は、脱水症状を防ぐためにこまめに水分を補給しましょう。
4.4. 消化の良いものを食べる
胃腸に負担をかけない、消化の良い食事を心がけましょう。
4.5. 市販薬の使用は慎重に
市販の鎮痛薬や胃腸薬を使用する場合は、用法・用量を守り、症状が改善しない場合は使用を中止して医療機関を受診しましょう。特に、原因が特定できないまま安易に市販薬を使用すると、症状を悪化させたり、診断を遅らせたりする可能性があります。
5. 危険な腹痛?医療機関を受診する目安
以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
突然の激しい腹痛
持続する強い腹痛
我慢できないほどの痛み
発熱、吐き気、嘔吐を伴う腹痛
血便、下血がある場合
腹部が硬く張っている場合
意識が朦朧としている場合
以前に手術を受けたことがある人で、急な腹痛がある場合
症状が悪化している場合
原因が分からない腹痛が続く場合
これらの症状は、緊急性の高い病気のサインである可能性があります。自己判断せずに、救急外来を受診するなど、適切な対応を取りましょう。
6. 医療機関での診断と治療
医療機関では、腹痛の原因を特定するために、問診、身体診察、そして必要に応じて様々な検査が行われます。
6.1. 診断
医師は、痛みの種類、場所、程度、持続時間、伴う症状などを詳しく問診します。また、腹部を触診したり、聴診器で腸の音を聞いたりする身体診察を行います。
必要に応じて、以下のような検査が行われます。
血液検査: 炎症反応、肝機能、腎機能などを調べます。
尿検査: 尿路感染症や尿路結石などを調べます。
便検査: 細菌感染や出血などを調べます。
腹部X線検査(レントゲン): 腸閉塞や消化管穿孔などを確認することがあります。
腹部超音波検査(エコー): 肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などを画像で確認します。
腹部CT検査: より詳細な腹部の断面画像を撮影し、様々な病変を確認します。
内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ): 消化管の粘膜を直接観察し、組織を採取して病理検査を行うこともあります。
婦人科系の検査(内診、超音波検査など): 女性の場合、婦人科系の病気が疑われる際に行われます。
6.2. 治療
治療法は、特定された原因によって異なります。
薬物療法: 鎮痛薬、胃腸薬、抗生物質など、原因に応じた薬が処方されます。
食事療法: 消化の良い食事や、特定の食品を避けるなどの食事指導が行われます。
手術: 虫垂炎、胆嚢炎、腸閉塞など、手術が必要な病気もあります。
内視鏡的治療: 胆管結石の除去など、内視鏡を用いた治療が行われることもあります。
7. 腹痛を予防するためにできること
日常生活で少しの工夫をすることで、腹痛を予防できる場合があります。
規則正しい食生活: バランスの取れた食事を規則正しく摂り、暴飲暴食を避けましょう。
十分な水分摂取: 便秘予防のためにも、こまめに水分を摂りましょう。
適度な運動: 適度な運動は、腸の動きを活発にし、便秘解消に役立ちます。
ストレス管理: ストレスは自律神経のバランスを崩し、腹痛の原因となることがあります。リラックスできる時間を持つようにしましょう。
体を冷やさない: 腹部を冷やさないように心がけましょう。
まとめ:腹痛を感じたら、自己判断せずに医療機関へ
腹痛は、ありふれた症状である一方で、重篤な病気のサインである可能性も秘めています。痛みの場所や種類、伴う症状をしっかりと把握し、少しでも「おかしいな」と感じたら、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。
この記事が、あなたの腹痛に対する不安を解消し、適切な行動をとるための一助となれば幸いです。お腹の痛みにお困りの際は、ぜひこの記事を参考に、早めに専門医にご相談ください。
監修:かくたに内視鏡消化器内科クリニック
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