【医師監修】健康診断で便潜血陽性になった人が最初に確認すべきこと
健康診断や大腸がん検診で「便潜血陽性」と判定され、驚いた方も多いでしょう。
“陽性=がんでは?”と不安になるのは当然ですが、結論から言えば 「陽性=大腸がん」ではありません。
しかし、放置してよい結果でもありません。
このページでは、 • 便潜血陽性の意味 • がんの確率 • 受けるべき精密検査 • 放置の危険性 • 検査の流れ • いつまでに受診すべきかを、初めての方でもわかるように、専門的すぎない言葉で解説します。
便潜血陽性と告げられた方が「今すぐ知りたいこと」をすべて網羅した、“本当に読んで役に立つページ”を目指しています。
■ 1.便潜血陽性とは?何を意味するのか
便潜血検査とは、便の中に目に見えないほど微量の血液が含まれているかを調べる検査です。検査に引っかかる(=陽性)ということは、**「消化管のどこかで出血が起きている可能性がある」**というサインに過ぎません。
● 陽性=病気確定ではない
陽性だからといって、 • 大腸がん • 大腸ポリープ • 炎症 • 痔などのどれであるかは分かりません。
● 大事なのは「原因をはっきりさせること」
便潜血検査はスクリーニング(一次検査)であり、**異常がある可能性を示す“アラーム”**のようなもの。最終的な診断は、後述する**大腸内視鏡検査(大腸カメラ)**でしかできません。
■ 2.便潜血陽性になる主な原因
便に血が混ざる原因は、良性のものから重い病気までさまざまです。
① 痔(じ)最も一般的な原因です。
便が硬い、いきむ癖がある、デスクワークが多いなどで出血しやすくなります。② 大腸ポリープ大腸の壁にできる良性の腫瘍ですが、出血源となります。大きいポリープは将来、がん化するリスクがあります。
③ 大腸がん便潜血検査の目的であり、早期がんでも出血することがあります。初期症状がほとんど出ないため、陽性は重要なサインです。
④ 炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎やクローン病など。腹痛・下痢を伴うことが多い病気です。
⑤ 大腸憩室症腸に袋状のくぼみができる病気。炎症や出血を起こすことがあります。
● 結論
便潜血陽性は「病気の可能性はあるが、がんと決まったわけではない」状態。
だからこそ、軽視せずに精密検査が必要なのです。
■ 3.便潜血陽性=大腸がんの確率はどれくらい?
一般的な統計データでは、 • 便潜血陽性者の約5〜6%に大腸がん • 約30〜40%に大腸ポリープが見つかります。
つまり、100人陽性になれば、5人前後はがんの可能性ありという計算です。
逆にいえば、約95%はがんではないとも言えます。
しかし、この“5%の可能性”を見逃さないために、精密検査が必須なのです。
■ 4.便潜血陽性を放置するとどうなる?
便潜血陽性を放置した場合、最も怖いのは “自覚症状のないまま大腸がんが進行する” ことです。
● 大腸がんは初期症状がほぼ出ない
• 血便が出ない
• お腹が痛くない
• 便秘・下痢がいつも通り
• 体調に変化がない
これでも進行しているケースは珍しくありません。
● ポリープは放置するとがん化する
小さい段階で切除すれば、将来のがんを予防できます。
● 陽性のまま数年放置すると、進行がんで見つかる例は多い
症状が出てからの発見では遅く、手術や抗がん剤が必要になる場合があります。**陽性=「今ならまだ間に合うかもしれないサイン」**と考えてください。
■ 5.精密検査は「大腸内視鏡検査」一択
便潜血陽性と告げられた場合、選択肢は1つしかありません。👉 必ず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるこれ以外に、大腸がんやポリープを確定診断できる方法はありません。
■ 6.大腸内視鏡検査とは?分かりやすく解説
大腸内視鏡検査は、肛門から柔らかいスコープを挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。
● 大腸カメラで分かること
• 大腸がんの有無
• ポリープの有無(その場で切除可能)
• 出血源の特定
• 炎症性疾患の確認
• 憩室の有無
世界的に、最も精度の高い検査です。
● 痛い?苦しい?
近年の大腸カメラは、
• 鎮静剤で眠っている間に終わる
• 細いスコープを使用
• お腹の張りが少ないCO₂送気
などの技術進歩により、ほぼ無痛で終えられるようになりました。
■ 7.大腸カメラの流れ(初めてでも安心)
① 受診(診察)便潜血陽性の結果票を持参し、医師と相談します。
② 前日の準備 • 消化の良い食事 • 指定された下剤の服用 • 検査食を食べるケースもあります
③ 当日腸をきれいにする薬(腸管洗浄液)を飲みます。水のような透明になるまで排便すれば準備完了。
④ 検査鎮静剤が使用されることが多く、眠っている間に終了します。ポリープがあれば、その場で切除できます。
⑤ 結果説明画像を見ながら、医師から丁寧な説明があります。
■ 8.便潜血陽性の「よくある質問(FAQ)」
● Q1:痔があるだけでも陽性になりますか?
はい。痔だけでも陽性になります。しかし、痔とがんの区別は大腸カメラでしかできません。
● Q2:1回だけ陽性でも検査必要?
必要です。1回の陽性でがんが見つかる人も少なくありません。
● Q3:症状がまったくないのですが?
症状と陽性は無関係です。大腸がんの初期は無症状がほとんどです。
● Q4:どれくらい急いで検査するべき?
1〜2か月以内が目安です。遅くとも3か月以内には受けましょう。
■ 9.便潜血陽性になったら“今日からできる行動”
① 内視鏡対応クリニックを探す「大腸内視鏡検査」「ポリープ切除対応」「鎮静剤対応」などを確認。
② 結果票を持って受診予約便潜血陽性と伝えると、スムーズに予約できます。③ 不安は医師に相談痛み、費用、検査の流れなど何でも相談可能です。
■ 10.まとめ:便潜血陽性は“放置してはいけないサイン”
便潜血陽性は、がんに限らず、出血を伴う病気の可能性を示す大切なサインです。
• 陽性=がんとは限らない
• がんの可能性は約5%
• ポリープは約30〜40%
• 最終診断は大腸内視鏡検査のみ
• 放置すると進行がんのリスク
• 早期ならほぼ治るがんでも、遅れると治療が大変
• 陽性は“今なら助かるチャンス”
便潜血陽性は怖いものではなく、あなたの健康を守るためのアラートです。この機会に、大腸内視鏡検査を受け、安心を手に入れてください。

